デザ インリノベーションの考え方
賃貸物件のデザインリノベーションに関しては様々な考え方がありますが、弊社では下記の点を特に重視しています。
_1 目に見える部分は全て変える。
_2 賃貸業は事業であるという観点から費用対効果を追求する。
_3 パッケージされたデザインコンセプトを重視する。
_4 差別化が低コストで容易、競争力を高める設備のみ交換・導入する。
_1 目に見える部分は全て変える
デザインリノベーションに関して部分的に行うケースをよく聞きますが、費用を分解すると大半は資材と人件費であ
ることから、例えば一部分のクロスを変更するのであれば全面変更したとしても人件費から見て費用は同じ比
率で増加はしません。
外部に依頼する職人としても同じ 1 日の作業であれば単価を上げたいと考えることから費用減額の交渉がし
やすいでしょう。
また、コンセプトにおいてもデザインリノベーションに関しては単純な原状回復やリフォームとの差別化が重要
となるので、内見時に賃貸仲介業者が「目に見える内装は全てリノベーションしています。」と言えることは決
定率を高めるキラーワードになりえます。
以上を踏まえて壁や天井のクロス、玄関の土間や部屋のフロアタイルなどの床材、巾木やドアや窓枠の塗装
などは全て行うという前提で考えます。
例えば下記は同一物件の玄関周りのリノベーション前後の様子ですが、土間のタイルの上にフロアタイルを施工
し、巾木や框やシューズボックスやドアまで全て白に塗装しています。このように低コストであっても見た目を全て
変えるほどのアプローチであれば十分に差別化は可能です。


_2 賃貸業は事業であるという観点から費用対効果を追求する
賃貸業は趣味ではなく事業である為、資本を投下する際にはリターンがあってしかるべきです。
あくまで、入居するであろうターゲットに一般的な物件より高い家賃を払っても良いと思われたり、この物件で
あれば住みたいと思って貰った上で短期間に入居付けできるかが肝要です。
前項でも触れましたが、デザインリノベーションは設備を積極的に変更せず、クロスや床材、塗装などによるいわ
ゆる表層の工事を全面に行う形で徹底すれば差別化が可能です。
例として以前地方の築古のアパートのリノベーションを行った際、地場の管理会社は弊社のコンセプトに懐疑
的で予算を使ってトイレに手洗い用のシンクの設置をしたいと提案されました。
ですが、一般常識的に考えてトイレに手洗い用のシンクがあるから住みたいと思ったり高い家賃を払いたいと思
うでしょうか?
答えは NO です。
結果的に、設備はほぼ変更せず表層を全て変更するデザインリノベーションにより 1R タイプの部屋 9 室の空
室が 3 ヶ月ほどで満室となり、家賃は 35,000 円前後から 45,000 円前後に 30%ほど UP しました。
因みにこの際の工事費用は 1 部屋あたり 500,000 円程度であり、月に 10,000 円であれば年間に
120,000 円、つまり約 4 年で投下資本を回収できる計算です。
_3 パッケージされたデザインコンセプトを重視する
インテリアや内装はファッションと同じで全体がオーガナイズされなければ美しく見えないです。
例えば、頭にシルクハットをかぶり、上着は登山用のアノラックで、ボトムがぼろぼろのジーンズであったら、如
何にそれぞれのアイテムが高級ブランドであったとしても素敵だと思わせることは出来ないでしょう。
インテリアや内装にはいくつか代表的なテイストがあるが、現在一般的なものとしては下記が挙げられます。
_1 フレンチシャビーシック
フランスにて古くから伝わるヴィンテージ感ある要素を上品に仕上げたスタイル。
退色した彩度の低いグレーやくすんだホワイト、手塗りのレンガやタイルが古びたようなテクスチャー、縁飾りの
ついた手塗りの棚などがキーデザイン。


_2 スカンジナビアン
北欧のスウェーデン・ノルウェー・デンマークが含まれるスカンジナビア半島周辺で生まれたスタイル。
針葉樹のような彩度の低い木目やグレイッシュな北の海や空をイメージさせる深いブルー やグレー、木や円
など自然由来のパターンを活かした平面デザインのクロス、 角度がゆるやかなアールの効いた甘すぎない曲
線のウッドのインテリアなどが特徴。


_3 ニューヨークブルックリン
ニューヨーク州の郊外であるブルックリンで生まれたスタイル。
元々倉庫や工場の多いエリアにアーティストやミュージシャンなどが多く移り住み、 古びたレンガのエクステリ
アにサブウェイタイルやオイルを打った木材のインテリア、黒い鉄材をアクセントとしたデザインが特徴。


その他にもいくつかのテイストがあるが、物件の所在するエリアは男性と女性のどちらが多いのか、社会人や
学生の割合はどうかといったマーケティング視点で決定するのが望ましいです。
また、パッケージ化された場合発注が容易である点も魅力であると言えます。
_4 差別化が低コストで容易、競争力を高める設備のみ交換・導入する
この資料で度々表層を重視して設備はなるべく交換しない旨を強調してきましたが、交換や導入することにより
費用対効果の高い設備は存在します。
端的に言えば、洗面台の交換・トイレットペーパーホルダーの交換・シングルレバー水洗の導入・玄関の姿見
の導入・システムキッチンでない場合のガスレンジの導入などです。
例えば洗面周りとトイレの例としては下記のようなものとなります。


ご覧の通り洗面台はパイン材を材工にて施工して貰い、シンクやパイプやミラーボックスは全てサンワカンパニ
ーの製品を使用して工事費用は 100,000 円以下です。
なお、床材もマイクロタイル調の撥水性の高いフロアタイルに、合わせて洗濯パンも変更済みです。
また、トイレに関しては巾木を白に交換して床をフロアタイルに張替え、トイレットペーパーホルダーのみを交換
しています。
また、トイレと洗面台の背面はサブウェイタイルのクロスにしていますが、これは統一感と清潔感を感じられる汎
用性の高いアプローチです。
続いてキッチンは下記を参照してみましょう。


こちらは背面のタイルとキッチン扉を塗装し、取っ手の変更を行っています。
またレバーをシングルレバーに交換の上リンナイのホワロというガスレンジを設備として導入しています。
ガスレンジは自身で手配するのは手間で接続もうまくできないケースなども有り、このような少しスタイリッシュ
なものを導入すると入居者に大変喜ばれます。
因みに価格は 20,000 円弱であり費用対効果はかなり高いと言えるでしょう。
なお、この項目の物件は横浜市の築 25 年以上の駅から徒歩 18 分のマンションだが、リノベーション後に家
賃が 55,000 円前後から 78,000 円前後に上げることができました。
2DK である為工事費用は 1,200,000 円程度でしたが、年間 276,000 円の家賃 UP としてやはり 4 年強で
の資本回収です。
以上、簡易的にではあるが弊社のデザインリノベーションのコンセプトをご説明いたしました。
その他にも風呂場の床材をバスナフローレに変更しパネルとラージミラーを導入したり、1 棟の物件であれば
Wi-fi や防犯カメラ、宅配ボックスの導入なども行いますが、基本的な考え方は費用対効果の高い表層を全て変
更しながら一部の設備で差別化を図るということです。